直木賞作家坂東眞砂子さん死去

がん治療中の坂東眞砂子さん死去

『山妣』や『曼荼羅道』などの作品(la obra)で知られる、直木賞作家の坂東眞砂子さんがお亡くなりになられました。


生まれ故郷(la tierra natal)の高知で舌がんの治療中だったようです。



坂東眞砂子さんの、土佐弁を使った作品が好きで、特に『朱の棺』は何度読んでもグッとくるものがあります。


太平洋戦争で死んだ息子は(el hijo)、爆弾ごと敵の船に突っ込んで玉砕したという。

周囲からは立派な軍神として崇められ、遠方からも多くの慰問客が訪れ、
立派な軍神を産み育てたと礼を言われる母。

しかし母は、そんなわけはないと心の中で思う。

息子がお国のために(para la pátria)死んでいったとはどうしても納得出来ない。

息子は浜に干している魚を盗むは、小舟に穴を開けて警察(la policía)に突き出されるは、いたずらで山火事(el incendio forestal)を起こしそうになったこともあるやんちゃ坊主だった。

大きくなってからも、腐りかけの魚を平気で売る(vender sin pudor)は、青年団を仮病で休むは、母の目から見ても決して良く出来た子ではなかった。

兵役に就くことになっても、すぐお役目をすませて戻んて(もんて)くるさと、お国のためになどと勇ましいことなど言う子ではなかった。


そんな息子が軍神と崇められるような武勲を立てただなんて、実は人間違いで、息子はどこかでまだ生きているのではないかと母は思う。


母はある夜夢を見る。

息子が悔しそうにくどくどと話している。

『ルソン島なんかにおったら、おりゃあ、むざむざ死ぬだけじゃと思うたんじゃ』


そして息子は他の島へ逃げて(huir)隠れようと、深夜に船を盗む。

その船に爆弾(la bomba)が積んであるとは、暗い海上で気が付かなかった米軍船にぶつかって爆発するまで、息子は知らなかった。

『まっこと、へまをしたもんじゃ。思い違いちがいもええとこぞ、お母ぁ』


目を覚めた母は、いかにも息子らしいと微笑み、それでこそ自分の息子だと思う。。。




海外在住でエッセイでも活躍

坂東眞砂子さんは生前海外に住みながら数々のエッセイ(el ensayo)も書き、子猫殺し発言などで批判(la critica)を受けたりしていました。


故郷の土佐弁を使ったある種実に日本的な作品を、海外に住みながら書いてのは驚きです。

その反面、いわゆる日本の常識的(el sentido común)発言や行動の範囲を超えてしまいがちな部分があった気がします。

ご冥福をお祈りします。(Que descanse en paz)



今日のスペイン語フレーズに行きます。



Metí la pata...mamá.

めてぃ ら ぱた、、、まま

↑へまをしたもんじゃ、、、お母ぁ

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記事で紹介した「朱の棺」が収録されています。

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